君との時間は・・・
家について自分の部屋へ向かおうとしたとき。


「恵~。」


「っなんやねん!姉貴!」


「今日はど~だったの~。」


「なんで姉貴がそんな、ルンルンやねん。」


「だって!初デートでしょ!初デートが最悪だったらこの後なにも楽しい事なんてないじゃない。」


「最悪なわけないやろ!・・・最高やったわっ!」


バンッ――


「ふぅ・・・。」


言うてもうた。つい、言うてもうた。『最高』て・・・。姉貴に言うたらどんなことになるかわからへんのに。


思わず口に出てもうた。けど、それだけメッチャ楽しかったし、幸せで最高な時間やった。


今度は・・・どこに行きたいんやろ。海か?遊園地か?水族館か?なんて、俺の中で幸せに浸ってた。


「恵。」


「で・・・なんでまた入ってくるん!?」


「あ、いや。邪魔しに来たわけじゃないんだけど。」


「ほな、なんやねん。もうすでに俺の幸せに余韻に浸ってた邪魔してるんやけどねっ!」


「あら、ごめんなさい。で。」


「で、ってなんや。」


「恵さ・・・」


まさか、姉貴の口からそんな言葉が出てくると思わへんかった。けど・・・なんで今そんなこと言うたんか、俺には分からへんかった。


「昔のこと・・・気にしすぎてない?」


「・・・?」


「幸せになりなよ。」
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