君との時間は・・・
俺が無理やりでも、笑美を笑わせようとしてたこと。俺にはできるきることはない。


それでも、できるだけ不安を消してやりたくて。笑美は『大丈夫』やって言うてるけど多分嘘やと思う。


怖ないわけないやん・・・。俺やってきっとそうや。大丈夫なわけ・・・あらへん。


怖くて、不安で、しゃぁないと思う。けど、笑美は俺のことを考えてくれてるんと思うから。


俺を不安にさせへんようにしてくれてるんと思う。それなら、俺は笑美を不安にさせへんようにする。


お互い様や。笑美・・・


あっという間に放課後になった。


「恵、行ってきます。」


「行っておいで。」


笑美が俺に微笑みかける。どんな結果が出ても受け止める。でも、きっと大丈夫や。


笑美なら。きっと。


それから、俺は『また明日』と笑美に言うてそっと頬にキスをした。けど、俺のそのキスは不安だらけやったと思う。


笑美に気付かれたかもしれへん。それでも笑美は病院へ続く道を進みだした。



そして・・・翌日。俺が知った事実。


再発――


俺の心の中をこの言葉が埋め尽くしていく。俺の目に涙が溜りだす。けど、泣いたらあかんから。


笑美は泣いてへんから。せやから笑美の話を全部聞いて、正直に自分の気持ちを言えたんや。


「手術・・・頑張ってこいよ?」


「うん・・・大丈夫だよ。」


また、大丈夫やって言う笑美。多分、俺の方が大丈夫やないと思う。今にも泣きそうやもん。


やっと、幸せになれたと思ったのに・・・。やっと・・・好きな人と一緒におれると思ったのに・・・。


俺は・・・こんなとき・・・何もできへん。
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