君との時間は・・・
「ん?どないしたん?」


「私ね、夢があるの。」


「お、どんな夢なん。」


「言いたくない。自分の夢を他人に言っちゃうと叶わなくなるって、お母さんに言われたから。」


「俺は他人ちゃうやん!教えてや。」


「じゃぁ、先に恵の夢聞きたい。」


「なんや、それ。俺が言うたら笑美も言うてくれる?」


「そうね。」


笑顔でそう答える笑美を見て、嘘やないような気がした。たとえ嘘やったとしても、俺は怒らへんと思うけど。


お母さんとの約束やったらしゃぁないしな。


「俺の夢は、笑美と」


『山本さん。そろそろ着替えてもらえる?』


わぁお。看護師さん登場。俺の夢言われへんかった。けど、時間やし。


「はい。分かりました。」


「あ、俺出るわな。ほな、また後でな?」


「うん。また後で。」


この時の笑美の笑顔は、本当は不安やのに一生懸命笑顔を作ってます!って顔やった。


けど、そんなことは言われへん。笑美は多分俺を気遣ってくれてるんやと思ったから。


俺は病室から出て、少し外の空気が吸いたくなって病院の屋上へ向かった。


「ふぅ!気持ちえぇな。・・・笑美・・・無事成功しますように・・・。」


俺の声は、空の上の神様に届いたんやろか。


そして、手術開始まで15分くらい前になって、笑美の病室に向かった。


そこには、着替え終わってベットに横になってる笑美と、おそらく笑美の家族がいてた。


「笑美。」
< 118 / 153 >

この作品をシェア

pagetop