君との時間は・・・
「そうですね・・・。はい。いつも笑顔で、元気ですかね。」


「なら、このお花はピッタリですね。お兄さん、いいお花を選ばれましたね。」


ピッタリ?俺には花言葉とか全然わからへんけど・・・店員さんが言うんやったらきっとえぇ意味なんやろな。


「ありがとうございました。」


店員さんに、きれいに包んでもらってお店を後にした。


まだ誰もいてへん笑美の病室に戻って、花瓶に水を入れる。そこにさっき買ってきた花を入れて棚の上に戻した。


まだ手術が終わるまで時間がある。どないしよ。と思って、とりあえず病院内を歩いてみることにした。


いろんな患者さんがいてる病院内は、静かながらもいろいろな話がとんでいた。


自分の病気はどうやとか、今日退院するとか、手術がもうすぐで不安やとか。


みんなそれぞれにいろんな思いを抱いてた。笑美も、こんな感じやったんやろか。


そうこうしてる間に、笑美の手術も終わってた。


笑美の病室には、家族がいてたけど、俺を見て何か察したんか、そっと頭を下げて部屋を後にし行った。


そして、俺は笑美の横にそっと腰を下ろす。


まだ麻酔が効いてるみたいですやすやと寝てる笑美。けど、少し辛そう。


なんか、夢でも見てるんやろか。そっと笑美の名前を呼んだ。その時、笑美の目がうっすらと開いた。


そして、俺とは逆の方へ首をひねった。そこにはさっき買ってきたあのピンク色の花が入った花瓶がある。


それを見た笑美の頬を一粒の涙が伝った・・・。


「えみ?笑美?」


笑美は俺の方を向いてくれへん。どないしたんやろ・・・。


「笑美?どっか痛いとこある?」


「大丈夫だよ。」


やっと、俺の方を向いてくれた笑美の顔は・・・涙のせいか輝いて見えた。
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