君との時間は・・・
それからしばらく抱きしめた後、俺は帰らなあかん時間になった。


「また見舞いに来るからな?」


笑美はまだ術後の経過を見るために入院生活が続くらしい。


せやから、笑美をまた不安にさせへんように見舞いに来る約束をして病院を出た。


その日帰ってからの俺は安心したんかバッタリ寝てもうた。


目が覚めた時には朝で。いつもと同じように学校に行く準備をしていつも通りに家を出た。


ここまではいつも通りやった。これからあんなことが起きるも知らず。


学校に着いて上履きに履き替えてると・・・


「おはようございます。」


って、急に話しかけられた。その相手は、可愛らしい女の子やった。


「あ、おはよう。」


「初めまして。私、隣のクラスの知恵って言います。」


「・・・あ、そうなん。俺は」


「恵くんでしょ?」


俺が自分の名前を言う前に、知恵っていう名前の子が俺の名前を口にした。


「え、あ、うん。恵やけど。」


「あの、お友達になってくれませんか?」


友達、な。いかにもそれだけやったら済みませんけど、って顔やけど。


「友達なん?」


「はい。友達です。だめですか?」


「いや、だめやないけど。あんたがえぇねんやったら。」


「あんた、じゃありません~。知恵!」


なんか、めんどくさい女に捉まってもうたらしい。きっと、なんか企んでる。


顔が、普通の笑顔やなかった。笑美の笑顔とは全然違う。
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