君との時間は・・・
「私は、恵のことを誰よりも愛してる!」


「・・・は?そんな言葉いくらだって言えるわよ!私だって、恵のこと」


「言うな!」


また叫んでる俺。確かに怒ってる。けど、さっきまでとはちゃう。


俺な、多分心のどこかで自信がなかってん。笑美は俺のことをホンマに愛してくれてるんやろかって。


俺、バカやん?せやから、考えても答えは出てこぉへんかったけど、今笑美に言われたから。


もう、俺と笑美の間には誰も入ることのできる隙間なんかないねん。


「俺も、笑美のことを一番愛してんねん。それに俺は、笑美以外のやつに愛してるなんか言われたない。」


「け・・・恵・・・っなんでよ・・・私は・・・ホントに・・・恵のこと・・・っ」


あ・・・あかん。このままこの場におったら、また思い出してまう。俺はまた・・・泣かせてもうた。


この場から・・・逃げたい。そんな俺の弱い心は笑美の手を握って


「教室行こか?」


と言っていた。笑美は何も言うてくれへんかったけど、一緒に歩き始めてくれた。


「ごっめんなさい・・・っ恵・・・私のこと・・・っ嫌わないで・・・」


知恵の泣き声は俺の耳に届いた。けど、もう知恵の方を向かれへん。けど、ちゃんと一とかなあかんと思った。


俺は、笑美の手を握ったまま立ち止った。そして、知恵の方は向かれへんかったけど静かに言うた。


「ありがとう。これからまた頑張りや・・・。」


と。知恵の泣き声を背中に、俺と笑美は教室へ向かって歩き出した。
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