君との時間は・・・
それやのに、俺の言葉は無残にも・・・綾の言葉で消されてまう・・・。


「もぉ恵のことなんか好きやないて、さっき言うたやん?」


止まりかけていた綾の目から・・・また涙が流れ始める。


「・・・は?そんなん」


「もぉ、えぇねん!うちも・・・アホやねんから。」


「綾はアホちゃうやん!俺に気持ちぶつけてくれたやん!」


「うちな!来月引っ越すねん!」


・・・今、なんて言うた?


「もっと早ぉに伝えへんかったうちは、アホや!」


綾?ホンマに言うてるん?嘘やろ?そんな話し、今初めて聞ぃたで?


「そんな嘘つかんでもえぇやん。」


「嘘ちゃう。ホンマの話や。なんなら、お母さんにも聞いたらえぇ。


・・・恵に気持ちだけ伝えられただけで、うちは嬉しいわ!」


「嘘や!」


俺は今までにない声で叫んだ。俺の心の叫びと同じくらいの声で。


「嘘ちゃう!こんなうそ言えるほどうちは・・・っ気ぃ強ぉないねん・・・っ。」


綾の頬を次々と流れて行く涙は・・・地面に落ちて、静かに消えて行く。


綾・・・ごめんな・・・俺が、気付いてたら、ここまで綾が気づ付くこと


なかったんやもんな。ごめん・・・綾。
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