君との時間は・・・
俺しか知らへんかった笑美の過去も、笑美は春登に話した。


俺はずっと黙って聞いてたかったんや。けど、やっぱりそれは無理で。


「そっか。それで、みんなの輪の中に入れなかったってわけか。」


「うん・・・。でも、今は恵も春登くんもいてくれるから一人でここにいることは無くなったかな。これから先も・・・。一人にはならないかな。」


「当り前やん!一人になんかならんやろ。」


無理して、笑顔作って答える俺。あぁ・・・早ぉ帰りたい。


この場から逃げたいのに・・・。


その時、不意に春登が違う話題に切り替えた。その話題は、俺にとって重大な話しやった・・・。


「あ、そう言えばさ。笑美さん昨日彼氏さんと歩いてたでしょ!商店街の近く!。」


え・・・。・・・嘘やろ。彼氏て、そんな話し・・・は?・・・嘘やろ?


嘘だと思いたいのに、俺の中は怒り、悲しみと・・・


「あ、それは」


「お前彼氏いてたん・・・?」


惨めさでいっぱいやった。惨め?なんで、俺が?


「だって!笑美さんと彼氏さん手繋いで仲良く話しながら歩いてたでしょ!少し、背は低かったかな。」


・・・彼氏・・・いてるんや。そっか・・・ラブラブやん、手ぇ繋いで歩くなんか・・・。


「違うよ!?あれは弟の太一なの!」


笑美が少し声をあげて反対する。弟?・・・そんなん・・・嘘なんちゃうん。


「笑美さんの弟さんだったの!?弟さんいたんだ。なんだ。彼氏かと思ったよ。」


「違うよ。商店街に買い物しに行くからってついて行っただけなの。」


あかん・・・。笑美がせっかく話してくれてるのに。・・・俺の中が・・・止まらへん。


「ホンマやろな・・・。」
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