君との時間は・・・
笑美・・・嬉しそうやん。春登も・・・。笑美の弁当やもんな。マズイわけないわな。


今の俺には、あの二人が恋人同士に見えて仕方なかった。


春登・・・もしかして・・・ちゃうよな?俺は・・・信じへんからな。


「また僕の分も作ってくださいよ。今度は一緒に食べよう。」


「うん。機会があったら作ってみるよ。」


今度は・・・俺が食べたい、なんて言われへん。笑美が・・・嬉しそうやったから。


俺と一緒に話すより、春登と話す方が楽しいんかもしれへんな。俺って、あいつらの邪魔者なんやろか。


「桜の木の下行かないの?」


クラスのみんなが、昼飯を食って校庭に出て行こうと、一度クラスに戻ってきだした。


サッカーボールを持って出て行くやつ、本を抱えて図書室に向かうやつ、体育館へ走っていくやつ。


賑やかな中で聞こえてきた春登の言葉。その時、笑美の顔が少し暗くなったような気がした。


「え・・・。あ・・・今日は・・・」


口ごもって何かを言おうとした笑美の言葉をさえぎって俺は会話に割り込んだ。


「行こうや、あの木の下。」


春登と笑美の視線が一気に俺に向く。


「恵・・・」


やっぱり少し暗い顔の笑美。


「なんで、そんな顔してるん?なぁ、春登。」


「変だよね、今日の笑美さん。いつもならもっと元気だし。弁当も食べなかったんだよ?」


春登、少し顔が引きつっとるで?なぁ、春登。お前も辛いんか?もしそうやったら・・・俺もや。


「どないしてん。弁当食わな、元気でぇへんで?」
< 72 / 153 >

この作品をシェア

pagetop