君との時間は・・・
笑美にこれ以上暗い表情をさせへんように、明るく言うてみる俺。「良かった」を繰り返して言った。


笑美を安心させたかったから。そして、笑美が何か言おうと口を開きかけた時。


「おまたせー。」


「お、春登帰ってきたで。」


「え・・・あ、お帰り。」


俺は春登が帰ってきたことを少し恨んだ。このまま帰って来てくれへん方が良かった、て。


けど、そんなん言われへんし。なるべく明るく振舞ってみる俺。けど、笑美はまたひきつった笑顔で対応してる。


そんなことも、お構いなしに春登が笑美に話しかける。


「ただいま。提出物のチェックされました・・・。」


「は!?春登、お前提出物ちゃんと出してへんのか!?」


「たった一つ、数学のプリントを出しそびれただけで呼び出しー。」


「・・・なんや、迷惑なセンコーやな。」


笑美は・・・一生懸命笑顔を作ろうとしてるように、俺には見えた。


「笑美さん?授業始まっちゃいますよ?」


「え?あ、ホントだ。じゃぁ戻ろっか。恵も。」


笑美が俺に、本当の笑顔やない笑顔を向ける。


「おう。次の授業は・・・数学やったっけ。」


「・・・。俺受けたくないかも・・・。」


「あ、え!?春登、今俺って言わへんかった!?」


「あ、や、言ってません!」


「言うたやろ!」


「恵、春登は、僕って言う時と、俺って言う時があるんだよ?」
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