君との時間は・・・
「え、笑美さん!?」


「・・・そうなんや。知らんかったわ、俺。まぁ、教室戻ってその嫌な数学しようや。」


そぉなんや。そっか。笑美は俺がそんなことしらへんと思ってたんや。けど。


そんなん俺も知ってるんやで。笑美と春登の仲って俺が思ってた以上に近いんやと思う。


けど・・・俺は遠ざかってまう。笑美と春登を置いて先に教室に歩き出す俺。


俺は、弱い。わかってる。けど、どうしても楽なほうへ逃げてしまう。


人間ってこんなもんやろ?そう自分に言い聞かせながら、心のどこかで自分を慰めてた。


けど・・・心の奥底では・・・危機感でいっぱいやった。


――このままやったら、笑美は俺やなくて・・・――


俺の心の中は、ぐっちゃぐちゃやった。


教室に戻って、席について。数学受けて。けど、なんも聞いてへん。


いや、聞かれへんかった。笑美のこと。春登のこと。自分のことで、頭ん中がいっぱいやったから。


この先俺は、逃げっぱなしなんやろか。このまま逃げてたら何も変わらへん。


けど・・・逃げたい。苦しいんは、辛いんは・・・嫌やから。


そのとき、俺の頭の中にふっと出てきた思い出の光景・・・。


綾の泣き顔 ――


あぁ・・・俺はまた繰り返すんか?また、同じこと繰り返すんか?って、なんで笑美が泣くねん。


笑美には・・・春登がおんねん。それやったら、俺は同じ過ちなんか・・・


でも、もし・・・笑美の気持ちがちゃうかったら?1200パーセントあるうちの1パーセントでも


もし、俺のこと好きって言ってくれたら?俺は笑美を振り向かせることは・・・?


そんなん、俺の・・・頑張り次第やん。ははっ・・・。俺・・・ホンマばかや。アホや。


・・・少し早いんかな。あきらめるん。・・・何回も・・・思ったことやったろうに。
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