君との時間は・・・
「・・・いや、ただ、恵が強そうだったから。」


「・・・」


「それで、恵に頼みたいんだ。俺と戦うこ」


「春登」


春登が今言おうとしたことが分かったから、言葉を割って入った。あのままやったら・・・


― 俺と戦うことになったら、負けてほしい ―


「・・・恵?」


「お前、笑美のこと好きなんやったら、本気で勝負してこい。」


春登は少し戸惑ってるようには見えたけど、すぐにわかったような顔をした。そして・・・


「笑美のこと好きなのは、恵だけじゃないから。」


春登の言ったこの言葉は、俺の心の中に深く刻まれた。


せやから俺は、騎馬戦のメンバーのいる輪の中に走って戻りながら決めた。


― 俺が勝ったら・・・俺が笑美にコクる ―


というか、俺が絶対勝つ。何があっても・・・勝つしかない。


笑美のことを幸せにするんは、俺や。これからはめっちゃ練習せなあかん。


負けたない。いや、負けるわけにいかへんから。きっと、春登も同じこと思てるはずや。


本番まで残り少ない日数で、鍛え上げて、万全な体制で挑む。


今は、そうするしかない。
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