君との時間は・・・
「んー。今はまだ付き合ってないんやし。満足でも、不満足でも俺は笑美とキスできただけで嬉しいから。


続きは・・・付き合うことになったらやな。」


今は、これだけで十分なんやって、自分に言い聞かせる。けど・・・実際はちょっと寂しいねん。


笑美にもっと触れてたいねん・・・。


「恵、不安なの?」


「え?」


「負けるかもしれないって、思ってる?」


笑美が不安そうに俺の顔を覗き込んできた。笑美は俺の心の中が見えるんやろか。


「・・・まぁ、完璧に勝てるとは思ってへん。確かに、メッチャ不安やねん。せやけど、今は笑美の為に」


「私の為じゃなくても良いよ?・・・恵の為に頑張ってきてよ。待ってるから。」


「それやったら、笑美と俺の為に頑張るって言うとったら良かってんな。」


「あ、ホントだ。・・・頑張ってね?」


「当り前や。好きな人の前で・・・負けたないからな。」


負けられへん。絶対。もう、お互いの気持ちを知ってもうたってこともあるけど。


何より笑美を・・・悲しませたないから。気づけば、笑美の目から涙は消えてた。


「はぃっ。・・・恵?」


「ん?・・・っ」


「そろそろ教室帰ろっか?」


「笑美っ!?」


「早くしないと、体操服に着替えられないから。先に帰っちゃうよー?早く、行こ?」


うわ~。俺、壊れてまう。笑美が・・・俺の手を握ってくる。小さくてやわらかい優しい笑美の手。
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