君との時間は・・・
あいつも何とか残ってるみたいやった。俺はというと、若干息が上がってる。


結構いろんな奴に相手にされたからな。けど、もちろん残ってる。さて、肩慣らしはええとして。


いよいよ、個人戦。周りの歓声もさっきより大きくなったような気がした。


個人戦、俺と春登、どっちが勝つのか・・・。少しは不安なんや。けどそんな不安を押し殺して、グラウンドへ向かった。


― 個人戦は、最後の一人が優勝ということになる!けがだけは気を付けろ!では、始め! ―


一斉にグラウンドの中央へ集まる。俺も春登も、同じ考えやと思う。先に周りにいる騎馬を倒してからお互い戦いたいって。


そして、俺と春登の騎馬が残った。軽く、俺らすごくね?何十もある騎馬を二人で倒したんやで?


と思いながら、お互いが正面を向いた。春登と目が合う。そして・・・俺と春登の中で再度、試合開始の笛が鳴った。


春登と手を合わせた。お互いが、焦ってるんがよぉわかる。段々と腕の力が加わってくる。


― 絶対に勝たなあかんと思った ―


― 笑美にかっこえぇとこ見てほしいと思った ―


― 早く笑美に会いたいと思った ―


― 笑美を思いっきり抱きしめたいと思った ―


― 笑美にキスしたいと思った ―


太陽が少し雲に隠れた。そのときか・・・?俺の中にある感情が芽生えたんは・・・。


― 笑美はホンマに俺のこと好きやんな・・・? ―


― アホな俺より春登のほうが笑美は幸せになれるんとちゃうか・・・? ―


― ・・・あかん・・・ ―     グッ ――  スッ――


――― ピーッ ―――


あぁ・・・終わったやん。なんやろ・・・めっちゃ・・・ホッとする。


俺の右手には、一つの帽子がある。俺・・・アホや。やってもうた。


春登を直視することはできへんけど、多分戸惑ってると思う。
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