君との時間は・・・
その時、春登が俺に話しかけてきた。俺、何言われるんやろ。何て言うたらえぇねやろ。


「俺に、笑美くれよ・・・。」


「・・・」


「なんで、笑美の中にはお前しかいないんだよ・・・。ずりぃよ・・・。俺の入れるすき間なんか・・・ねぇじゃん。」


「・・・」


「なぁ。答えろよ・・・。俺に笑美を」


「春登・・・。」


「・・・何。」


「・・・にしてくれ。」


あぁ・・・俺、もう無理だ。これで終わりだ・・・。」


「・・・ほんとに言ってんのか。恵。」


「あぁ。ホンマや。笑美を幸せにしてやってくれや。はい、この話は終わりや。」


「・・・恵。お前さ・・・」


「笑美の応援、行かなあかんのとちゃう?彼女は大切にせなあかんで。」


これでえぇねん。俺はまた、あかんことしてるかもしれへん。けど、今度傷つくんは俺だけや。


笑美は関係あらへんから。むしろ、笑美は幸せになれるはずや。そう思って、俺はそっと応援し始めていた。


そして、俺と春登は笑美が頑張ってる借り物競争の場へ向かった。俺の涙はいつの間にか消えてた。


借り物競争は始まったばかり。そんな中で、笑美はただグラウンドの真ん中でゆっくり歩いてた。


何かを一生懸命考えてるみたいやった。きっと借り物が難しいんやと思う。


ここでこのままやったら笑美は、多分一番最後やと思う。最後なら、まだえぇねんけど見つからへんってなったら失格やん。


何か、言える言葉がないか考えた末の言葉。けど、隣には春登がおる。けど・・・今だけ許してほしい。


もう、これで諦める・・・から。
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