君との時間は・・・
「春登にも、きっとそのうち分かるときが来るよ。」


「俺は・・・笑美が好きなんだ。この学校にきてから笑美を見たとき、一目ぼれしたんだ。だから、やっと気持ちを伝えられたのに・・・。なんで、俺じゃ・・・。」


春登も笑美に一目ぼれしたんやな。俺もやねんけど。同じやと思って、つい口を挟んでもうた。


「俺な・・・」


二人が俺を見る。そして、俺がいつから笑美のことを好きやったんか話した。


入試の時に笑美と話をして、一目ぼれで好きになったこと。これって・・・一目ぼれやんな?


それからもずっと、笑美のことを考えてたこと。そして、この学校に合格してて、同じクラスになれてめっちゃ嬉しかったこと。


昼休みは、笑美のことを窓からずっと見てたこと。


全部話した後、春登は俺と笑美に呟いた。


「俺・・・無理じゃん。そんなのさ。なんだ、俺負けてんじゃん。勝ち目なんか無いじゃん。」


「春登。勝ち負けちゃうって。笑美も言うててたやん。せやけど、俺本気やったから。笑美は誰にも渡したない。」


そうや。やっと気づいたわ。恋って、勝ち負けで競ったらあかんねんな。そうや。


間違ってるやんな。恋は、ホンマに好きな人と一緒にいてるから幸せなんやもんな。


「あー。無理だ。なんか、悔しいけど納得できる・・・。そんな一途な気持ちに俺は勝てない。」


「また、勝つとか言うてるやん。勝ち負けちゃうって。」


「分かってるって。でも、ホントに・・・恵の気持ちは一途すぎて。ごめん。俺には笑美と一緒にいれないな。笑美は恵といるべきだろうな。」


少しずつ、春登の顔の表情が和らいでいく。そして・・・最後に微笑みながら言った。


「恵・・・。俺諦めるよ。」


「春登・・・。」


「その代わり。笑美を幸せにできなかったら今度こそ俺が貰うからな。」


「幸せにする。俺が、笑美を幸せにするんやし。俺以外の男に笑美は渡さへんからな!」


この言葉に偽りはあらへん。ここまで、好きになってもうたんやもん。ここで俺が笑美を幸せにせぇへんかったらそれこそ罰が当たりそうやん。


せやから、いや。ちゃんと、笑美のことが好きやから俺が笑美を幸せにする。
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