今日から、他人行儀はじめます~仮面王子×天然美少女~
一瞬だった。
あたしの、顔に光康の顔が近づいてきて、
軽く触れるだけの、キスをされた。
「な……な、なにすんのよ~!!」
自分でも、顔が赤く染まるのがわかる。
平手打ちしようと、手をあげた瞬間。
「また、同じ事に引っかかるとでも思ってんの?」
手を押さえつけられ、至近距離に光康の顔。
心臓……ドキドキしっぱなし…
ぷいっと、顔を逸らす。
今日の、光康は、変だ。
熱でもあるのかも知れない。
「っく…」
「え…」
こらえるような笑い。
ビックリして目を見開くあたし。
「くっ…真由、からかいがい、ありすぎ」
「はあああ!?」
あたし、からかわれてたの?
恥ずかしさと怒りが、わきあがってくる。
掴まれていた手は、離されていて、両手が、自由になった。
「なんで…こんなことしたの?」
「ムカついたから」
「はぁ?」
あたしの、ファーストキスを奪っておいて…
その理由が、ムカついたからって…
何なの…本当。
「真由が、俺に逆らったのが、ムカついた」
「なんで…?」
「なんとなく」
ダメだ…会話が続かない。
もう、教室に戻ろう。
そう、思って、カーテンを開けたその時、
ーガチャ
「あら、花本さん」
保健室の先生が、帰ってきた。
「…あ、先生」
「なあに?」
人前では、あたし達は他人。
そう言い聞かせる。
「奥のベットにいる、岡本君が氷が欲しいそうです」
出来るだけ、ニッコリと言って、あたしは、保健室を後にした。