今日から、他人行儀はじめます~仮面王子×天然美少女~


あたしが、その感情が「好き」っていう恋愛感情だと知ったのは、
小学1年生の時。

それは、仲のいい友達が、


「私、光康の事が好きなんだ」


って、あたしに報告してきたからで。


「そうなんだ」


笑顔で言ってみたけれど、
光康が盗られるっていう気持ちになった。

あたしも光康の事好きだよ。

そう言えたら、どんなに楽だろうって。

何度思ったかわからない。

でも、楽しそうに光康の話しをする友達をみていたら、何にも言えなくて。

辛くて……悲しくて……

どうしようもない、気持ちになったの、今でも覚えてる。

不安だった……

光康は、どんどんカッコよくなって、
周りの女の子もどんどん光康の事好きになって。

あたしから、光康が離れていっちゃうみたいで。

でも、光康は、あたしに話しかけてくれた。


「今日の給食何?」

とか……

「また明日」

とか……

そんな、些細な会話もあたし、嬉しかった。

住む世界が違うような、あたし達だけど、
幼馴染で良かった……って、そう思えたの。

小学校の卒業式の時。

光康に告白する、女の子がたくさんいる中。

逃げる様に帰った。

走って、走って、
苦しくて、胸が締め付けられるみたいで。

涙が出てきた。


「…うっ…うえ…」

拭いても、拭いても、溢れてきて。

あたし、こんなに光康の事、好きだったんだって。

あたしの方が、光康の事知ってる。

あたしの方が、光康の事大好きだもん。

そこらの女の子になんか負けないぐらい。

大好き、大好き、大好き、大好き、
こんなに、大好きなのに、伝わらない。

こんなに、大好きなのに…

あたしは、臆病物だ。

「大好き」

たった三文字じゃない。

でも、言えないの。

言えないなら、言わなければいい。

このままでいいんだ……

さようなら、あたしの初恋。



全力で好きでした。





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