選ばれる彼女
「お別れということですか」




「馬鹿、お別れではない。新たなる旅立ちだよ」




優太は自分でも何を言っているのかよくわかりませんでした。




「とにかくもう、上の階の空き教室に来てはいけないよ」




「わかった。優太くんの言う通りにするよ」




優太は香織の腕をつかみ、そっと抱き寄せました。




そして、両腕を香織の背中にまわし、ぎゅっと抱きしめました。




「今までありがとう」




優太はやさしく香織の耳元にささやきました。




少しして、優太は香織を離しました。




香織は少し涙目でした。
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