靴磨き
本文
「僕ね……、昔、キャバクラの店長、やってたんですよ」
両足を揃え、私は椅子に座って待っている。
目の前で、まだ三十代に満たないぐらいの、短髪で痩せっぽちな男が、先ほどまで履いていた私の靴を、抱きかかえるように、片方ずつ磨いている。
靴磨きというと、履いたまま、というイメージがあるかもしれないが、足を乗せる台を持たない職人も、世の中にはいる。
私は好んで、そういうところに通う。
一番大きな違いは、靴ひもを取り外すか否かだ。
履いたまま磨くのでは、どんなに腕の良い職人でも、その部分が不十分になってしまう。
私は、それが気に入らないのだ。
勿論、紐のついていない靴を好む人間には、無用の戯言である。
両足を揃え、私は椅子に座って待っている。
目の前で、まだ三十代に満たないぐらいの、短髪で痩せっぽちな男が、先ほどまで履いていた私の靴を、抱きかかえるように、片方ずつ磨いている。
靴磨きというと、履いたまま、というイメージがあるかもしれないが、足を乗せる台を持たない職人も、世の中にはいる。
私は好んで、そういうところに通う。
一番大きな違いは、靴ひもを取り外すか否かだ。
履いたまま磨くのでは、どんなに腕の良い職人でも、その部分が不十分になってしまう。
私は、それが気に入らないのだ。
勿論、紐のついていない靴を好む人間には、無用の戯言である。
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