F"ur Elise
「ピアノ・ソナタ第14番…」

そう呟くと葛西先生は続けた。

「ヴェートーヴェンって恋多き男だよな?月光も彼が30歳の時に14歳下の恋人に送った曲なんだってさ。」

「…彼は歳の差ではなく身分の差で苦しんだ」

「…ところですずな、何故ここにいるんだい?」

「この部活に入ろうと…新しい顧問の先生を待っているんです。」

「あぁ…」

先生は私と同じ目の高さになり笑顔で言った。

「クラシックピアノ部顧問になりました。葛西翔です。」

と。
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