F"ur Elise
学校に行くとまだ昼休みで、私はすぐに葛西先生を探した。

「先生」

先生は休憩室で一人座っていた。

「おー、来たか」

と笑顔で私を見る。

「先生、いつも迷惑かけてすみません…。勉強できていますか…?」

「いやぁ俺さ、勉強嫌いだからさ勉強すると眠たくなってダメなんだよね…」

困った顔で私を見る。
…可愛い。

思わず笑いそうになるのを我慢して

「これ…」

黄色いお守りを渡した。

「私、これでこの高校受かったんです。先生に貸します。だから…絶対受かってください。」

「ありがとうな。これでミラクル起こすよ。」

と、にっこり笑った。

私は葛西先生の笑顔が好きだ。

「すずなの優しさ無駄にできないしな」

先生、私は優しくなんかないよ。

ただ、先生にこの学校に残ってもらいたい…

それだけだもん。

< 38 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop