F"ur Elise
一瞬フワッと甘い香りがした。

突然のことだった。

私の手は勝手に止まった。

「せ、先生…?」

鍵盤を覗くように…

先生の顔は私の顔のすぐ横。

「すずな、成長したな」

とびきりの笑顔で言う先生。

「えっ…」

顔が熱くなるのを感じて私は下を向く。

「恋、してるんだな」

笑顔で言うのは…何故?

「あ、先生…」

私は無理矢理話題を変える。
< 54 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop