F"ur Elise
次の日も、その次の日も同じことを言われ続けた。

そんなある日の放課後。

〜♪〜♪

テストを受けるために選択した"エリーゼのために"ではなく"ラ・カンパネラ"を、一人で弾いていた。

私は「ピアノに関係のある仕事につきたい」と思っていた頃、フランツ・リストが「僕はピアノのパガニーニになる」と言っていたのを知った。

どことなく、共感があったんだ。

だから、この曲だけ、昔から何度も練習を積み重ねてきた。

〜♪〜♪
手が止まらない。

まるで、ピアノが私の指を求めるように…
その、白と黒の鍵盤へ導いているように手が…指が動く。

この時間だけが好き。

全てを忘れられる。
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