F"ur Elise
パチパチパチパチ

全て弾き終わった時、拍手が後ろから聞こえた。

慌てて振り返ると、そこには葛西先生がいた。

「っ!!…いつからいたんですか」

驚きと聴かれたくなかったという気持ちでいっぱいだった。

「和音、跳躍の非常に複雑な曲をこんな完璧に弾いている人初めてみたよ」

「あ、ありがとうございます」

正直、すこし照れた…。

「テストの選択曲、"エリーゼ"じゃなく"カンパネラ"にしたらどうだい?」

「え…」

そんな簡単に言わないで欲しい。

確かに良い成績をとりたい。

だけど、何年もかけて磨きあげたこの曲をテストに使うなんてできない。

先生に本当の気持ちは、言えず、

「考えておきます。」

と言った。

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