桜花~君が為に~
第一話
元治元年

「悠輝。お茶持ってきて」

昼下がりの新撰組屯所。
沖田総司の部屋に二人の人影。

一人は、この部屋の主である沖田総司
もう一人は・・・

「それくらい自分で用意してくださいよ。」

ため息をつきながら答える少年の名前は
藤村悠輝。
沖田総司の右腕として新撰組に身をおいている。
漆黒の髪を一つに結っている
どこか幼さの残る少年だ。

新撰組に入ってふた月あまり
悠輝は隊士と、特に幹部の人間との信頼を深めてきた。
おかげで、今では幹部の人間の仲間入りを果たした。
もともと持っていた剣の才能をかわれたのだ。

「もう、少し。
あと少ししたら・・・・」

父の仇がとれる。
< 1 / 152 >

この作品をシェア

pagetop