桜花~君が為に~

どうやら土方はそのことに気づいていないらしく
襖越しに土方の陰が通り過ぎていった

「お疲れ様です」

悠輝はそう沖田に言葉を投げかける
彼が手に持っている本のようなものを見つけ苦笑した

これももはや日常とかした風景で
毎朝寝起きの悪い土方を
沖田が起こしている

その方法が今日のように句集を盗んだり
はたまたどこの熟年夫婦かと思うような起こし方だったり
日によってその起こし方は変わり
唯一変わらないものと言えば
土方が怒りくるって沖田を追いかけることくらいだ

「総司!!!!!」

勢いよく襖が開き
鬼の形相の土方が部屋に入ってくる
その様子に沖田と悠輝と斎藤以外の全員のが固まった

「えっと…土方さん。落ち着いてください」

今にも沖田に飛び掛りそうな土方を制し
悠輝は言葉を紡ぐ
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