桜花~君が為に~
斎藤と別れてから
悠輝は言われた通り
松本の待つ部屋の前まで来ていた

「失礼します」

襖越しにそう話しかけ
ゆっくりと襖を開け部屋の中に入る
そこには人の良さそうな人がいた

「お初にお目にかかります
副長助勤一番隊組長補佐役藤村悠輝です」

襖を閉め
松本の方へ振り返って
丁寧に礼をしてから
自分の役職と名を名乗る

「おぉ君が悠輝君か
近藤さんから聞いていた通りの少年だな」
「有難う御座います
それで、頼みたいということというのは?」

再び丁寧に礼をしてから
本題へと話を移す

「おぉそうだったな
君にある人物のことを頼みたいんだ」

思い出した様に松本は言葉を発する

「ある人物?」

大体は予想できだが
悠輝は松本に問いかけた

「沖田君のことだ」

想像していた通りの名が松本の口から出る
さらに松本は言葉を続けた

「彼は今、ある病にかかっていてね」
「知っています」

松本の言葉に
悠輝はきっぱりと言葉を返した
こんな悠輝の言葉に
松本は驚いたような顔を見せた
悠輝はそんな彼に微笑みかけ言葉を続けた
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