桜花~君が為に~

「彼の世話をするという頼みなどする必要はありません
俺はいつだって、あの人の傍にあります
それはどんな時も変わりません」

一言一言はっきりと言葉を紡ぐ

あの日
あの時決めた
彼を守ると
彼の役に立ちたいと
どんな時も傍にいると

その気持ちは今も変わらない
だから…

「医学なら多少心得ています
しかし、その場しのぎのものでしかないので
どうかご指導の方よろしくお願いします」

深々と礼をする
そんな悠輝の姿を見た松本は
そっと彼女に近づいて優しくその頭を撫でた

「君は、本当に強い子だな。近藤さんに聞いていた通りだよ
しかし傍にいることで
君にもうつってしまう可能性があるんだぞ?」

ゆっくりと顔を上げる
まっすぐに松本を見て再び微笑んだ

「覚悟はできています
それでも、俺の気持ちは揺らぎません
この命は全て沖田さんに捧げます」

きっぱりと言い切ると
松本は何処か悲しそうに笑った

「よろしく頼むぞ」
「はい」

松本の言葉に悠輝は大きく頷く
そしてもう話すことはないと彼が言ったので
悠輝は部屋を後にした
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