桜花~君が為に~
何もできなかった悔しさと
友だといってくれたのに
何も相談されなかった悲しみを
全て斎藤へぶつけるように
嗚咽を漏らしながら何度も何度も悠輝はその胸を握った拳でたたきつけた
「んで、どうして…
仲間じゃ…なかったんですか
なんで、二人とも出て行っちゃうんですか」
涙が溢れて止まらない
ただのあてつけだと言うことは解っていた
それでも、
溢れ出すなんともいえない感情を
誰かにぶつけずにはいられなかった
「…すまない、」
「―――…っ」
一言
呟くようにそういって
斎藤はうつむく悠輝の顔を上げさせた
そしてそのまま
悠輝の唇と自身の唇を重ねた
しばらくしてようやく
斎藤の体が悠輝から離れる
悠輝は手の甲で唇を拭い
熱を帯びた瞳で彼を見つめた
そんな彼女の様子に斎藤は微笑し
・・・・・・・
「返事は帰ってきてからでいい」
そう言葉を紡いだかと思うと
悠輝に背を向けて、先ほど藤堂が歩いていった方へと消えていった
一人残された悠輝は
そんな彼が去っていた後を
ぼーっと見ていた