桜花~君が為に~
「…歯向かうなら殺せ」
ぎゅっと拳を握り締めて
土方は冷酷に言葉を言い放った
「作戦は、伊東を話し合いと証して酔わせ暗殺する
その死体を油小路へと捨て、引取りに来た衛士どもを殺る」
以上だ
そう言い放ってから
土方は立ち上がり
一度も彼らの顔を見ることなくその場を後にした
「んっだよ、裏切り者は殺すってか」
ドンッと
永倉は怒りにまかせ畳を拳で叩いた
そんな彼の姿に
近藤は困ったように笑いながら
「歳も、本心では助けたいんだ
わかってやってくれ
俺から…近藤勇から永倉、左之、悠輝に頼む
どうか、平助を逃がしてやってくれ」
油小路へと向かう三人にそんな言葉を投げかける
希望にも似た近藤の言葉に
三人は大きく頷いた
そしてその夜
予定通り伊東が暗殺され
後に油小路事件と呼ばれる戦いが始まった