桜花~君が為に~






  消さなくちゃ」




目の前に紅が飛び散る
ゆっくりと藤堂の体が力を失い倒れていった
そんな彼の体を悠輝はそっと抱きとめる

「へい…すけ…?」
「おい!!平助!!」
「めぇあけろ!!」

手の中で息絶えた
藤堂の名を呼ぶ
返事は返ってこない

「久しぶりだね。悠姫」

懐かしい声が聞こえ
ゆっくりと視線を向けると
そこには
血のついた刀を持った
かつて愛した人がいた

「れ…つ…」
「てめぇ、よくも平助を」
「あれ?何で怒ってるの?
裏切り者は殺すのが当たり前でしょ?」
「ざけんな!!!」

くすくすと笑う烈に
原田と永倉は斬りかかるが
それはいとも簡単に避けられた

「工藤様」

遠くで
烈の名を呼ぶ部下のような人の声が聞こえる
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