桜花~君が為に~
第二十九話
それから、どれだけ経っただろうか
御陵衛士の残党に近藤が撃たれた
年が明け
後に鳥羽・伏見の戦いと呼ばれる戦が始まり
井上が死に、山崎が死に
多くの人が
傷つき死んでいった
沖田は病気が悪化し
離隊を余儀なくされた
「悠輝…本当に総司についていくのか?
「えぇ」
斎藤の問いに
悠輝は迷いもなく答える
「私は、ずっとあの方を支えて生きたいんです
だから、貴方の想いには答えられません」
きっぱりと言い放つ
すると斎藤は微笑し
「わかった…」
そう一言だけ言った
「好きになってくださって
有難うございました
それでは、またいつか…」
深々と頭を下げ
悠輝はその場を後にした
新撰組を離れた二人は
千駄ヶ谷の植木屋平五郎宅で
平穏な日々を送っていた
かといって彼の病状がよくなったわけでなく
寧ろ、悪くなったといった方がいいのかもしれない
悠輝だって、何度も医者から離れるように言われたが
その度に首を横に振った、