桜花~君が為に~

約束したから、ずっと傍にいると
あの日…斉藤の手を振り払った時から
決めていたから


「おはようございます。総司さん」
「おはよう」
「今日はいいお天気ですよ
ほら」

襖を開けて彼の方へと振り返った
外を見ると抜けるような青空が広がっている
総司は「そうだね」と優しく微笑みゆっくりと体を起こす
悠輝はすぐに彼のもとへと駆け寄りその体を支えた

総司と共に新撰組を離れて早四ヶ月
二人は結婚し穏やかな日々を送っていた
結婚したといっても
二人だけでそう決めただけで
将来家系図に悠輝の名がのることはない
形だけの夫婦

それでも構わなかった
『今』幸せなら それで、いいと思った

「皆。今頃どうしてるんだろう」
「大丈夫、皆きっと元気にしていますよ」

だって、あの新撰組ですもん


総司の問いに、悠輝は何処か、自嘲のまじる微笑みを見せた。
それから、そっと彼の肩に羽織をかけてやる。
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