桜花~君が為に~
実際のところ
新撰組は、大丈夫などではなかった
近藤が斬首となった知らせがつい先日届いた
もうすぐ、新撰組は…旧幕府軍は負けてしまうだろう
でも、悠輝は決して総司にそれを伝えなかった
伝えてしまったら、彼が消えてしまいそうだから
「コホ…ゲホゲホゴホッ」
隣にいた総司が咳き込むのを見て
すぐに悠輝は傍にあった布で彼の口元を押さえ
ゆっくりと、背中をさすった。
「ゲホゴホッ…悠…ゲホゴホッゲホ…ッ」
「大丈夫。大丈夫です
傍に、います。私がずっと」
白かった布が段々と朱に染まっていく
その光景に悠輝は唇をかみ締めた
咳き込む中
必死に悠輝を呼ぶ彼に何度も何度も
大丈夫、傍にいるといって聞かせた