桜花~君が為に~

第三十話

彼が死んで
葬儀が終り
私は急いで土方さんのもとへと向かった

近藤さんを死なせてしまったことを悔やみ
死に急いでしまう彼を…
死に場所を求めて戦い続ける彼を
死なせたくなかった









でも
この手を伸ばしたそのときには
もう、「土方歳三」という存在は
この世には存在しなかった

土方さん
貴方は最期まで貴方の信じる道を貫くことができましたか?
貴方がずっと背負い続けてきた
たくさんの「重み」
たくさんの「想い」から
開放されましたか?
大好きな皆さんに会うことはできましたか?

願わくば彼らにとっての死が
少しでも心安くあらんことを…


「私も、すぐ傍に逝きますね
総司さん…土方さん…」


小太刀を取って
そっと首元に当てる
ぐっと力を入れようとしたその時…


「悠姫!!!!」


そんな自分の名を呼ぶ叫び声と同時に
遅咲きの桜がいっせいに散る
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