桜花~君が為に~
「み、みんな…」
もういないはずの皆の声が聞こえた気がした
たまらず涙が溢れ出す
握り締めていた小太刀を地に落として
私は舞い散る桜の花を抱きしめた
「やっと、見つけた…悠姫…」
ふわりと
後ろから包まれるように抱きしめられる
ゆっくりと視線を向けると
そこには
あの頃から少し大人びた烈の姿があった
「烈?…どうして…」
彼が藤堂を殺してから
一度も会わなかったのに
何故今頃、こんな時に…
「沖田に、頼まれたんだ」
「総司さんに?」
体を離し
烈へと向き直る
烈は困ったように笑いながら頷き
今まであったことを話してくれた
「油小路の事件の後
僕は何回か悠姫に会いに行ったんだけど
でも、会えなかった
いつもね、沖田がそれを阻止してたんだ」
「え?」
「それで…いつだったかな
そうそう、御陵衛士の残党が新撰組の局長を撃ったとき
なにを勘違いしたのか知らないけど、沖田は僕のもとにやってきた」
戦うため?
近藤さんの仇をとる為?
「違うよ」