桜花~君が為に~
そういって平助は体を少し斜めにする。
壁と平助の間に出来た隙間から
斎藤さんの姿が見えた。

「居たんですね。斎藤さん」
「あぁ」
「んじゃあ、俺ちょっと佐之さんにしごかれてくるし。
飯出来たら教えて」
「わかった。」

出て行った平助と入れ違いに
斎藤さんが調理場に入ってくる。

「すみません、あと少しで出来るんで
それまでお邪魔します」
「大丈夫だ。問題はない」
「有難うございます」

ぺこりと、一度礼をしてから
斎藤さんに向かって微笑む。
それから再び作業に取り掛かった。
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