桜花~君が為に~
「あ…悠輝」

ようやく悠輝の存在に気づいた沖田は
悠輝を見て微笑んだ。
おいで、といいながら手招きをする。

「…長く外にいるのは体に悪いですよ」

季節は夏だが
まだ初夏だ。
夜はそれなりに涼しいし、少し肌寒くも感じる。
それに、彼は今怪我をしているのだ。
ただでさえ風邪気味だといっていたというのに…

そんなことを考えながら
悠輝は沖田の横に腰を下ろした。

「うん、ごめん
もう少しだけ」

そういって笑った沖田はどこか悲しそうで
悠輝は少しだけですよ
とひとこといって同じように空を見上げた






「そろそろ、部屋に入りましょう。
包帯も替えなければなりませんし…私、土方さんから呼び出しがかかっているんです」

しばらくして
下ろしていた腰を上げ
悠輝は彼に言葉を投げかけた。

「そうだね」

悠輝の言葉に従い、沖田も腰を上げる。
そしてそのまま二人で沖田の部屋へとはいった。
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