桜花~君が為に~

その間、悠輝は何かに耐えるように
じっと下を向いて拳を握っていた。

「悠輝」
「っ!!」

名前をよばれ、びくっと肩が跳ねる
顔を上げろと言う土方の言葉に
悠輝はゆっくりと俯いていた顔を上げた。

目の前には眉間に皺を寄せた土方の顔
横には、いつものようにへらへらと笑った沖田の顔

「…俺は、戦えます
戦えるんです大丈夫ですからっ!!!」

なみだ目で訴える

「いいから、俺のといに答えろ」
「……でもっ」
「聞けってんだよ」
「…っ」

少し怒ったようになった声に
悠輝は何も言い返すことが出来なかった。

「…いいか。真面目に答えろよ
お前、女だよな」
「…ぇ」

思っても見なかった言葉に
悠輝は小さく声を漏らした。
いや、実際はわかっていたのかも知れない
自分が女だと言うことを彼が知っていることを

今朝の言葉からそれは容易に想像できた。

ただ、確認されるとは
思っても見なかった。
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