桜花~君が為に~
とすると、ここに残っているのは
沖田さんと平助、山南さん
そして私の四人だけだろう。
―――…殺せ
なんどもなんども
心の中に声が響く
その声にしたがって
私は沖田さんの部屋へと歩みを進めた。
殺せ 殺せ
沖田を 新撰組を
壊してしまえ
「……ろせ…こ、ろせ」
まるで何かに操られているかのように
おぼつかない足取りで歩きながら
悠輝はそう呟いた。
その目は空に輝く月の光を映していなかった。
「……」
無言で襖を開け中へと入り込む
寝ている沖田へと近づき
そっと小太刀を抜いた。
そのまま
あの日のように沖田へとつきたてた
全て
あの日と同じような景色
でも、一つだけ違っていた。