桜花~君が為に~
「僕を、殺すの?……悠輝」
あの日は避けられた太刀は
沖田の素手によって止められた
手から血が滴り
刃を伝って本来貫かれるはずだった胸に丸い後をつけた。
「…ころす…殺さなきゃ」
光を映さない彼女の瞳
沖田は悲しそうに微笑んだ。
「殺さなきゃいけない
皆殺されたんだ。お前達に」
愛しかったあの人も
ずっと傍にいると誓った人も
大好きな父親も
すべて
この新撰組に奪われた。
「それは、君の本心?」
「…っ!!!」
沖田はそう悠輝に問いかけると
刀を掴んでいた手を離し
一瞬でそれを払いのける
カランと小さい音を響かせて
それは部屋の隅へと転がった
「殺す!!!お前は私がっ!!!!」
「僕を見て、君の目はそんなに陰っていなかった
いつもの悠輝に戻って」
血のついていない左手で
彼女の頬に触れる
そのまま
体を起こして彼女の唇に口付けた。