桜花~君が為に~
「わぁったよ」
まっすぐ見つめる彼女の瞳に
土方は静かに頷いた。
それを確認し悠輝は再び語り始める。
「俺・・・いいえ
私は・・・長州の、攘夷志士の人間です」
それから
悠輝は全てを話した。
自分は女で
婚約者がいること
その婚約者、そして父を殺されたショックで記憶を失ったこと
そして、父親を殺された記憶だけがのこり
敵討ちのため新鮮組みに入ったこと
自分の目的は新撰組をつぶす事だと
「・・・・・だから、なんだ?」
「え・・・・?」
思ってもいなかった言葉に
今まで冷酷さを保っていた目が崩れる。
ふと、辺りを見渡すと
皆が皆悠輝に向かって微笑んでいた。
「お前が、あっちの人間だってのは最初から知っていた。
俺達を殺そうとしていたのもな」
「でも、君は僕らを殺さなかった」
土方に続いて沖田が言う
殺さなかったじゃない
殺せなかったんだ。
皆があったかくて
優しくて