桜花~君が為に~

「君は、優しい人ですよ」
「まぁ、女ってのは気づけなかったけどな」
「俺は、気づいていた」
「私も、うすうすは」
「え、嘘
もしかして気づいてなかったのって俺ら三人だけか?」
「うわっ
だから俺ら三馬鹿とか言われるんだって」

山南、永倉、斎藤、井上、原田、藤堂が
続けて言葉を発した。

「ってことだ、
だからてめぇはここにいろ」
「・・・っ」

そんな不器用に言い放たれた言葉に
悠輝の瞳から涙が零れ落ちた。

「僕の傍にいてよ。悠輝」

優しく頭を撫でられる
感じた温もりにまた涙がこぼれた。

殺そうとしたのに
自分は、いま頭を撫でてくれている彼を
殺そうとしたのに
どうして、こんなにも暖かく自分を受け入れてくれるのだろう

不思議で不思議で
暖かくて優しくて
そんな新撰組だからこそ
自分は壊すことが出来なかったのだと自覚した

「ここに、いても・・・いいん、ですか?」

涙で途切れ途切れになりながらも
悠輝は言葉を紡いだ。
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