桜花~君が為に~

中にいた人物は
そんな騒音と叫び声の主を
驚きの表情で見ていた。

「な、なんだ」
「なんだじゃありません!!!!
これ、仕事終った分です!!!!
あと、何で俺が今日非番なんですか!!!!!!!」

突然土方の部屋に入り込んできたかと思うと
弾丸のように話し彼の机に乱暴に自分がこなした書類を置く悠輝
そんな彼女の様子に土方は
困ったようにぽりぽりと頭の後ろかいてから
乱暴におかれた書類を横目で見る。

「俺なら大丈夫です!!!
だから仕事ください!!!!」
「あ~うっせぇな、一回黙れ」
「でもっ!!!」
「だまれってんだよ」
「…っ」

低く言い放たれた言葉によって
ようやく部屋が静かになった。

部屋を沈黙が包む
最初に口を開いたのは…

「今日は、総司も非番だ」

土方だった。

「はい?」

その言葉の意図がわからず
悠輝は首をかしげた。

自分は確かに一番組の隊員だが
沖田が休みなのと、自分が休みなのは関係ない
今までだって二人が休みだった例などなかったはず

「あいつのことだ、今日もまた子供と遊ぶだろうよ」
「あっ……」

そこまで聞いて、ようやく彼の意図を理解った。

沖田は非番のたびに、今日の子供達と遊んだり
茶屋に団子を食べにいったりしていた。
今までは、それでもよかったのだが…
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