桜花~君が為に~
「沖田さん…最近体調が悪そうだから…」
小さく呟いたその言葉に、土方は口元を緩めた。
「わかってみてぇだな。悠輝…」
「はい」
「お前には、総司が無茶しねぇように見張ってほしい」
最近の沖田はよく咳をしている
それを土方も知っていたのだろう。
本人は大丈夫、ただの風邪だと言い張っているが
明らかにそんな物ではないをこと悠輝も土方も理解っていた。
それが、何かまでは知らないが…
それに悠輝もここのところ何かに取り付かれたように
仕事ばかりしていて、あまり休んでいないのだ。
しかし、彼女の性格を考えれば
ただたんに休みといっても言うことを聞かないことを分かっていた
だからこそ、任務と言う口実を使って彼女を休ませようとしている。
「……分かりました、その任務受けさせていただきます」
案の定
悠輝は土方の作戦に見事にはまった
どこか、不満げな顔をしているが
こういっているのだから、問題はないだろう
「あぁ、頼んだぞ」
「はい。それでは、失礼します」
悠輝は軽く礼をしてから立ち上がる。
それから、開け放たれたままだった襖の間から外へとでて
入ってきたときとは正反対に静かに閉めた。
「まったく、相も変わらず過保護ですね」
悠輝の出て行った襖が再び開き
そこから沖田が姿を現す。
柱にもたれかかったと思うと
いつもと変わらない笑顔を見せた
「うるせぇよ」
沖田のいる方へと向かないまま土方は呟いた。