桜花~君が為に~
「どうしたんですか?山南さん」

中庭へと辿り着き、置いていた木で出来た台の上に二人腰を下ろした。
悠輝が問いかけると、山南は何処か含みのある笑みを見せ
ゆっくりと言葉を紡ぎ始める。

「私は、ずっと…死ぬ理由を探していました。
この手で、芹沢を殺してからずっと…」
「なっ…」

聞いたことがある
昔、この新鮮組には二人の局長がいて
その一人の芹沢という人は山南の手によって殺されたのだと
でも、それは近藤や新撰組のためにやったことで、
山南が責任を感じるものではないはずだ。

「ありがとう。悠輝」
「え?」

思いがけないところで礼の言葉を述べられ、悠輝は驚いた表情で彼を見た。

「悠輝のおかげで、私は…
その理由を見つけることが出来ました」
「…っ」

そんな、山南の言葉に悠輝の肩がびくりとはねる
少し俯いてしまった悠輝の頭を
山南は、優しく撫でた。



「そんな…こと、言わないでください…」

震える声で悠輝は何とかそれだけ言葉にした。
そんな悠輝の言葉に山南は無言で彼女の頭を撫で続ける。

「私は…守るって、決めたんです…
新撰組の。皆さんを…」

涙を流してしまわないように拳を握り締め
悠輝はゆっくりと顔を上げた。
潤んだ瞳でじっと山南を見つめる。
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