桜花~君が為に~
「死ぬ理由だとか、言わないでください
探すのならせめて…生きる理由を、探してください」
力強いその言葉に山南は一瞬驚いた顔を見せたが
すぐに微笑み
「はい、わかりました」
と、いつもと変わらない優しい口調でそういった。
それから、撫でていた手を止め悠輝に小指を差し出す。
「約束しましょう」
「はい…」
差し出された小指に
悠輝は自分の小指を絡める。
そして、二人で約束をした。
決して死なない…と
「時間をとらせてしまってすみません。
話したいことはこれで終わりです。部屋に戻ってもらってもかまいませんよ」
そんな山南の言葉を聞いた悠輝は
ゆっくりと立ち上がり
「失礼します」
と一言だけ言って
当初の目的通り行動するため
急いでその場を後にし、自室へと向かった。
ここを曲がれば自室まであと少し
そんな時……