桜花~君が為に~

「私は今、一人の長人を調べています
歌京 唯(ウキョウ ユイ)という人物で彼女はこの新撰組を監視しています
彼女の行動を詳しく記した書物は私の部屋にあります
私がもしいなくなり死んだ場合はその書物を読んで対応してください
そして、私は自刃したと他の者には伝えてください
そうすれば、私が皆にこの情報を伝えたと彼女にはわからないでしょう

最後に…悠輝」

思いがけなく出てきた自分の名に
悠輝は目を見開いた

「約束を…守れ、なく…って
ヒック…すみま…せ…」

涙を堪え切れなくなり
瞳から大粒の雫を零す
その雫が紙へと落ち何処か懐かしく感じる山南の字をにじませた

それでも悠輝は
山南の最後の言葉を皆に伝えるため
声を振り絞る

「君は。ヒック…どう、か…生きて」

ようやくの思いでそこまで読み
悠輝はその場に泣き崩れた

この文からわかるに
山南は長人を調査している最中に見つかり
斬られたのだろう

どれだけ痛かっただろう
その痛みを
想像することしかできない
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