桜花~君が為に~
「そんじゃ、俺らは悠輝を部屋に寝かせてから部屋に戻るとしますか」

泣き疲れて眠ってしまった悠輝を抱えて
原田は立ち上がった
それに続き

「あぁもう!!こういう空気は性にあわねぇんだよ!!!」

と叫びながら永倉が立ち上がり
襖を開けて先に進む
そんな彼の様子に呆れて苦笑しながら
悠輝を抱えた原田も後に続いた

いつもならここで藤堂も加わり
さらににぎやかになるのだが

「……」

今日は無言で立ち上がったかと思うと
そのまま二人を追い越して自室へと戻った

「それでは、局長、副長失礼いたします」

斎藤は丁寧に礼をしてからその場を後にする
続いて、近藤、井上も部屋を後にした

部屋に残ったのは土方と沖田の二人
皆と同じように部屋を出て行こうとした沖田を
土方は無言で止めた

「……」
「……」

しばらく二人が向かい合い
無言の時間が過ぎる



沈黙を破り
先に言葉を紡いだのは…
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